震災復旧復興のボランティアというと、瓦礫撤去や仮設住宅への支援がよく知られています。そんな中、手つかずの状態だった神社仏閣の修理に尽力した方々が七ヶ浜で活躍していました。
5号目「手と手」に掲載の石碑修復チームの活躍を紹介いたします。
震災による地震や津波で、七ヶ浜町内にある神社の石灯籠や石碑などが倒壊し、しばらくの間、放置されたままの状態でした。「何とかしなければ」と思った地域住民が七ヶ浜ボラセンに相談。大工職人だったボランティアの鈴木完司さんを頭に修復作業が始まりました。
まずは、4月23日の記事で少しだけ触れた多聞山・毘沙門堂の石灯籠修復について。
多聞山の毘沙門堂も被害があり、18基ある石灯籠のうち15基が地震の揺れで倒壊。可能な限り復元することから始めました。「壊れた部分は人間でいえば複雑骨折のようなもの。骨を入れて接着剤で固める必要がある。ウレタン材など弾力性があるコーキング剤が開発されているので、多少の動きがあっても壊れにくいと思った」と鈴木完司さん。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
工程は、坂下嘉和さんのブログから抜粋し説明します。写真は、松浦満寛さんと坂下さんからお借りしています。
欠けた部分は、散らばっている破片からパズルのように当てはめ、接着する。
ばらばらに全壊したものも組み合わせて、万力で仮固定。補強のため、ドリルで穴を開け、鉄筋を差し込んで接着する。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
圧巻は、中心に垂直に鉄筋を埋め込む作業だ。仮組した後、外の四方から全ての部品に相マークを打ち、ばらして、相マークから中心位置を求め、垂直に穴を開け鉄筋を通す。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
接着剤が前面に行き渡っていることを確認してからハメ合わせる。接着と仮固定が終了すると、この姿だ。(下:写真)
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
接着剤が固まると全体が元の姿に戻る。
目の前は松島の絶景。七ヶ浜町一番の景勝地だ。作業中にも、頻繁に観光客が訪れる。明日以降は、落ち着いた佇まいになるだろう。(OTOUのブログより)
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
※修復作業は、2011年10月開始~10月20日完了。
次回、石碑修復チームの記録・第二弾は「鼻節神社」です。