5号目「手と手」に掲載の石碑修復ボランティア。ご尽力頂いた皆さんの活動をご紹介しています。
さて、今回は第二弾・鼻節神社の石灯籠修復について。
鼻節神社は、東日本大震災の津波には遭わなかったが、地震の揺れで4基の石灯籠が倒壊。石段を転げ落ち、真二つに割れたものもありました。震災から一年近く経っても石灯籠の修復は目処は立たず、已むなくそのままの状態で放置されていました。
そこで多聞山の毘沙門堂に続き、鈴木完司さんチームが修復作業を開始。引き続き参加した坂下嘉和さんは「特殊作業のため、リーダーの(メンバーの人選)人選、また、作業中の統率が難しかった。しかし、何故か皆、楽しく進めていた」と話します。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
工程は、坂下嘉和さんのブログ、七ヶ浜ボランティアセンターブログ(あべ担当記事)から文面と写真を抜粋し説明します。また、松浦満寛さんからの聞き取り、記録写真を織り込んで掲載します。
まず取り掛かったのは、壊れた石灯籠の分別。石段の上段と下段各2基が混じり合ったものを見極めることから始まった。分別が終わると清掃。ブラシできれいに掃除してから、積み上げる際の位地を決める印付けなど下準備を行った。
次にそれぞれのパーツを仮乗せ。印を付けてから一旦ばらす。各パーツの中心に穴を開け、鉄筋を積み上げて、モルタルなどで固定する。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
各石灯籠の修復に取り掛かりました。季節は冬。雪や雨、みぞれが降る悪天候の中での作業。濡れた石の接着部分を乾かすため、バーナーを使っての乾燥がなかなか進まず苦戦していました。
(下段右側の石灯籠は)元々つか石が無く、台座を乗せる場所にパイプで土台を作ることから始めた。石灯籠が沈まないよう、真っ直ぐに立てるための基礎作りだ。飛び出た木の根っこや地面に埋め込んだ4ヶ所の土台パイプをサンダーで切断。石が埋まっている箇所があり、パイプがなかなか入らず苦戦する場面もあった。
割れている台座を上部と側面でつないでビス止め。「ひびが入っているから、これ以上傷つけたくない」と慎重に作業を進めた。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
別々のパーツの中心に鉄筋を通して補強しながら、チェーンブロックで吊るし組み立てる。圧巻の作業は、大型の傘を宙に吊るしたまま下部を積み上げて、最後に傘を下ろす。これを『だるま落とし』と言う。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
真二つに割れている竿石を合わせて接着固定。破片も鉄筋で補強固定する。
割れ散った傘や宝珠も慎重に組み合わせて接着固定。推量しながら組み合わせ。多聞山と同じように、周りを探しまわって破片を拾い集めた。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
修復の仕上げ作業。コーキング材を使用する。固まった後、ワイヤーブラシで地肌を出す。接着の充填。隙間を埋める。
土台は何度も研ぎ、表面をきれいに仕立てる。
組み立て、接着した石灯籠を万力で固定する。人間でいえば、包帯みたいなもの。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
震災でさらに傾いた狛犬の台座、ずり落ちそうになっていた手水も修正。手水は垂直に戻し、落ちないように裏でパイプ止め。
(聞き書き七ヶ浜5号「手と手」より)
※石灯籠の修復作業は、2012年1月20日~2月4日で完了(手直しは5月2日)。
次回、鼻節神社②(参道幟立て修復、手直し、危険木伐採)に続きます。