聞き書き七ヶ浜

聞いてけさいん、話してけさいん。七ヶ浜のいまむかし。

お雛さまに想う

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お雛さまの季節が近づいてきましたね。

新聞やテレビなどでお雛さまのイベントの情報を見聞きし、春の訪れを日に日に感じられます。ここ数年は暖冬なので季節の変わり目が曖昧ですが、つるし雛の映像が流れると心がウキウキしてくるものですね。

 

間もなく3月・・

忘れてはならないのが、東日本大震災が発生した3月11日のこと。

ボランティアがきっかけで震災復興の仕事に就き、被災された方々と共に手作りをしながら「きずな工房」で3年4ヶ月を過ごしました。

 

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この写真は、きずな工房のお雛さま飾り。

工房の利用者さんたちが丹精を込めた力作ばかりです。ささやかではありましたが、一般の皆さんにも見ていただきました。プレハブの建物が華やかに彩られる季節は、皆さんの表情が明るくなったと記憶しています。

 

お雛さまの手作りものといえば・・・

 

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被災された方にとっても、支える側にとっても思い出深いのが「貝びな」。

山形市からボランティアに来ていた渡部美穂子さん水戸ともみさんに教えていただきました。

 

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ハマグリの貝殻に着物など和布を重ねて貼っていきます。布の柄や色合わせに頭を悩ませるのも楽しみの一つでした。

 

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工房ではいろいろな手作りをしましたが、出来上がりの美しさは断トツでした。

 

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これは工房で作った貝びなを初めて販売したときの写真です。ボランティアセンターに置いてもらいました。

 

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完売したときの喜びは今も忘れられません。買ってくださった皆さんに感謝です。

 

そして、もう一つ・・・

 

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仙台かえりびなの会の皆さんの「桃づくり」。

2015年3月に仙台で開催された国連世界防災会議に展示する桃のつるし飾り作りをお手伝いしました。「七ヶ浜でも作って届けたい」と、新聞に掲載された記事を見た利用者さんの声がきっかけで交流が始まりました。

そして、教えてもらったのが会の名前でもある「かえりびな」。

 

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この「かえりびな」は「還りびな」。
福岡県柳川市の風習で還暦を迎えた人のためのお雛さま。60歳を迎えた人は人生をリセットでき、また新たに年を刻めるという言い伝えがあるそうです。

かえりびなの会の皆さんは、東日本大震災で被災された方々です。神奈川県の支援者から指導を受け、毎年震災の日を迎える頃に行方不明者の数のかえりびなを飾る展示会を開いています。

今年も仙台市福祉プラザ、せんだい3.11メモリアル交流館で開催されています。現在は展示数を縮小されているようです。

私も毎年足を運んでいます。鮮やかな和の布に心が和むと同時に「忘れてはいけない」と気持ちが引き締まります。

展示は、両施設ともに3月13日(金)まで。ぜひ足をお運びください。