聞き書き七ヶ浜

聞いてけさいん、話してけさいん。七ヶ浜のいまむかし。

浜の暮らし

最近は、朝晩と日中の寒暖差があり微妙な天候ですね。皆さん、いかがお過ごしですか。体調を崩されたりしていないでしょうか。

今回は湊浜の皆さんに伺った思い出話を抜粋してご紹介します。13号の「いまむかし」から「浜の暮らし」です。(画像は湊浜緑地海岸)

 

【寄り木】

~川から流れてきた倒木が、台風などの暴風雨で海底から砂浜に打ち上ったもの。湊浜の女性たちは、寄り木を見つけると腰まで海に浸かり、総出で拾い集め砂浜に並べて乾かした。乾いたものを調理や風呂焚きの燃料にして使った。~

 

・寄り木っていってね、台風来たあとに流木がいっぱい来たんだっちゃ。裸になってタモ(網)で(ぐっと引き寄せて)すくうんだっちゃ!

・いっぱい流れてくんの。すくったのを砂浜に山にしといて、そこさ陣取るんだっちゃ。少しずつ山を崩して一日、夕方に乾いたのを取りに行くの。それを焚いたんだっちゃ。潮水の薪だから目を悪くしてさ。

・少しずつ乾かして、お風呂を焚いたり、みそ汁を炊いたり。お風呂場にはよく使ったと思う。

・おっきい木はお風呂に焚いたりしてな。なかなか燃えなくて。潮水だもんなあ!

・流木は今、あがんのかしらね? 湊浜の(砂浜に)さっぱし行かないから。

 

【こぼれ】

~松の木の落ち葉のこと。松林の松葉は、寄り木同様に家庭で使う燃料の一つだった。こぼれを集めることを「こぼれされ(さらい)」といい、各地区で行い、皆で分配していた。~

 

・こぼれは一番最初、薪の元。枯れ枝を取って暖にしてね。

・こぼれされ! 松原から取るんだから。皆で丸めてね。

・藁や縄でくくって、崩れないようにして担ぐんだった。

・ほいづ、部落で地区で出た。(集めたこぼれを)くじ引きすんだっちゃな。三つ当たる人もいれば、二つ当たる人もいた。

・あそこは(湊浜の松林)は仙台市の土地だったから。県の方から譲られて。

・菖蒲田や松浜(松ヶ浜の俗称)でもやってたんでない?

※吉田浜でも地区で行っていた。

 

【長浜】

~「長浜」は、湊浜から福島県相馬市まで続く東北で一番長い砂浜だった。昭和46年の仙台新港開港で一部を遮断された。~

 

・湊んとこってずっと(砂浜が)続いていたからね。仙台までずーっと。

・浜までずっと歩いていって、ハマボウフウを採った。今の蒲生干潟なのかな。貝採りに行ったの。「カワグチ」っていって、貞山堀が出るところだったのかしらね。

・相馬の方まで見えたんじゃない?

・(蒲生の方へ)お祭りに行って、お嫁さんもらいに行ったみたいだね。誰かいましたよね? お祭りが盛んだったから、松浜に呼ばれたりした。

 

聞き書き七ヶ浜13号「いまむかし」より)

 

こぼれの話は、菖蒲田の皆さんから伺っていました。こぼれされをすることで、松林の環境が保たれていたそうです。電気やガスを使うようになり、生活が便利になっていく反面、松林は荒れていったんだと話していました。

寄り木についてはちらちらと話には聞いていましたが、女性の仕事だったようですね。私が小さい頃、薪でお風呂を焚いていた頃の風景がよみがえりました。懐かしい。

 

現在の湊浜緑地海岸(2024.5.21撮影)。もっと人がいて賑わってましたよ。

訪れた日は、ビーチバレーのイベントが開催されていました。こちらは、仙台国際トライアスロン大会のスイムコースになっています。

それにしても、つくづく思います。この砂浜を起点に相馬までひと繋ぎだった頃の景色を眺めたかったなぁ・・・なんてね。

過去記事もご参考ください。

kikigaki7.hatenablog.com

 

6月初めに16号の発行を予定しています。

出来上がりましたら、またご案内しますね (^O^)/